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​作者のコメント

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■三井朝希

 高校生のころから、アイスやカフェオレでできた町などを考えるのが好きでした。それらを目に見えるかたちで表現したいと思い制作したのが《カフェオレ》です。画面のなかにあるカフェオレはすべて実在の銘柄で、私のオススメの銘柄の商品も入っています。また、小さな生き物も隠れているので、探してみてください。

 《車内》は、青春18きっぷを使って行った鉄道博物館に展示されていた車体「クモハ40054」の車内をモチーフにした作品です。画面のなかには、街並みや日常の風景を描いてます。

この作品をつくるにあたって、当時の停車駅は切符のデザインなど、様々なリサーチを行いました。印字されている駅「四条畷(しじょうなわて)」は、今はもう走っていないこの電車の停車駅のひとつで、日付も現役で走っていた時期を印字しています。この路線で使われていた切符の写真や現物がなかったので、当時使われていた別の切符の字体や文字の配置・大きさなどを参考に制作しました。また、作品を紙の切符と同じ比率にしたり、裏側に磁石のシートを貼ったりと、大きさや材質にもこだわっています。

 切符の奥に広がる様々な風景を楽しんでいただけたら嬉しいです。

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■前川美衣

 ダダイズムのような、意味や本質を問う作品を作りたいと思っています。

《無意美》は、から揚げのオブジェや古雑誌、皮、木片に書かれたテキストなど、自分とふだん接している「もの」を私自身が選んで作品を構成しています。しかし、それらの「もの」への私的な感情や距離感とは関係なく、何気ない日常に存在しているそれら自体の持つ本質とは何かについて考えることが重要なのではないかと考えています。

壁面の版画は、その日印象に残った出来事を日記のような感覚で毎日刷った作品です。私自身の日常を版画という印刷媒体にただただ記録していくことで、ささやかな「もの(ごと)」に目を向けることもまた、意味や本質を考える方法だと思っています。

 また、そのように考えていくと同時に、「もの」を見ることは、それらと周囲の様々なものごととの関係性や時代背景、社会問題などを見ることにも繋がっていきます。

「もの」から派生するさまざまな意味やイメージを連想しながら鑑賞してもらえればと思います。

竹田さんプロフ画像.jpg

■竹田佳瑶

ふだんは版画を制作していますが、今回出展した作品はどちらもペンで描いています。

《秘密の冒険》は、新型コロナウイルスの感染が拡大し、大学に通えなかった期間に描きました。自分の部屋に閉じ込められているように感じ、頭の中でならどこか現実とは違うところに行けると思い、思い描いた世界を絵に落とし込みながら制作しています。、見た人が物語を想像できるように心がけて描きました。

《うろの夢》は、自分の好きな羊と、うろ(木に空いた穴)を描いた作品です。木のうろの先には違う世界があったら面白いなというのと、何もないはずの穴がどこかへ行ける入口だったらと考えて描きました。うろを見ると、その向こう側に別の世界が広がっているんじゃないか…?とつい考えてしまいます。

こうして、日々自分のなかに湧き上がるイメージや物語が、制作の原動力になっています。

中島優奈、作家紹介欄作成用はしもとアートシティ.jpg

■中島優奈

平凡さや素朴さ、ノスタルジーな雰囲気が好きで、そのなかにある風景や人々を描くことを一貫して続けています。どこかに遊びに行ったり、帰省したときの写真を自分の作品として改めて表現することで、自分の思い描く雰囲気を投影し、残しておきたいという思いがあります。写真を基に人物などを付け加えて制作することが多いです。

今回出した4点のなかでも、《雨、上がり》は、きれいな紫陽花の咲いていた鎌倉の極楽寺の風景を描きました。また、空を描くのが好きなので、作品ごとにその時々の空の表情を色々な描き方で試しています。

全体的に夏休みの風景を無意識に選んで描いているような気がします。そのため作品はそれぞれ完結していますが、全体的に大きな繋がりが感じられる作品になったのではないかと思います。

小寺さんプロフ.jpg

■小寺美卯

《ちいさな緑》は、目立たないけれど気づく人は気づくような、小さな輝きを持っている道端の植物をモチーフに描いています。中央のビーズの連なりは、水の流れや、水が零れ落ちていくイメージを表現しました。また、左の絵のなかにも、一粒のビーズを入れ込み、異素材を組み合わせることによってどんな表現ができるかを試してみたものです。普段は岩絵の具などの日本画の画材を用いた作品を制作、趣味でビーズを編んだ鳥獣戯画のモチーフの作品を制作しています。これら2つの異素材を組み合わせることに興味を持ち、今回の作品《ちいさな緑》を制作しました。

「異素材」とひとことで言っても、岩絵の具とビーズでは似ているところもあると感じます。例えばビーズを編むとき、糸の色を黒か白にするかでビーズの色の感じ方も変わってきます。岩絵の具も、色や異なる粒子の重ね方によって、見え方が変わってくる点が似ていて面白いと感じます。また、この二つの素材はどちらも強い輝きを持っていますが、ビーズの方がずっと大きいので、日本画の繊細な雰囲気を壊さないために、これを砕いたりしながら、良い組み合わせを研究しています。

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■ほりみさ

体と筆を大きく動かしながら絵を描くことが好きです。

また、身体を使って絵を描くことのできるモチーフとして、今回出展した3点のように、葉が大きく、勢いよく伸びている、あるいは鮮やかな色合いの植物を選ぶことが多いです。これらの植物の生き生きとした特徴を描くために、キャンバスやビニールなど、支持体の種類も工夫しています。今後は壁画にも挑戦したいです。

最初の作品《Delight》は、「カンナ」をモチーフにしています。道端に生えていることの多い植物ですが葉が大きく、色合いも気に入っています。

2つ目の作品《Distortion》は「ゆがみ」「ねじれ」という意味で、キャンバスに植物を描いてからくしゃっと歪めて木枠に貼ることで、立体作品の要素を取り入れています。どこからが平面作品で、どこからが立体作品なのかといった定義にも興味をもっています。

3つ目の作品《Oasis》は、新型コロナウイルスの感染が拡大し、大学に通えなかった期間の作品です。掛け軸のイメージで、少しでも家のなかに安らげる空間が欲しいと思い、制作しました。この作品も分厚い木枠にキャンバスを貼って描いていて、立体感を意識しています。

柳川さんプロフ画像.jpg

■柳川月子

普段から100円ショップなどでキラキラした素材を集めることや、つり目で目をそらしているような女の子を描くのが好きです。今回の《illustratio》はそれらを組み合わせて制作しています。フリーマーケットに出す予定が中止になってしまったので作品数を増やして展示の方に出品しました。

もこもこの毛糸をキャンバスに直接縫い付けたり、コンビニのプラスチック製のお弁当箱の蓋をヘアアイロンで挟んで溶かし、キラキラした状態になったものを額縁に飾ったりするなどの工夫が楽しかったです。

岡部さんプロフ

■岡部菜実

風景や旅行に行ったときの写真を絵にしています。写真を元にして描くことで、当時の雰囲気や思い入れなど、写真だけでは表現できないものを一枚の絵の中に表現したいと思っています。

《夏の旅行》は岡山県の倉敷に父親と旅行に行った際、一番笑顔が印象的だった写真を描いたものです。もともと父親が仕事で忙しく、今回の旅行も、自分の記憶のなかでは父親と行った初めての旅行でした。大学生になってから少しずつ話す機会が増えたのですが、旅行中に父親と普段の生活のことや、好みの話しができたのが思い出に残りました。この絵を通して、鑑賞者がそれぞれの思い出を連想してくれたら嬉しいです。

普段はイラストも描いていて友人の誕生日などにプレゼントすることもあるのですが、今回も展示が終わったら父親にこの作品をプレゼントしようと思っています。

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津野 莉央

「無意識の中で描く線」がテーマです。普段は銅版をやっていますが、自分の表現したい線が描けないと感じていた時にアクリル板に出会い、銅版の無駄な線を取り払って表現できるのではと感じました。

《青の隙間(2)》は、手描きで自由に描いた線をillustratorでデータ化し、レーザーカッターでアクリル板をデータ通りにカットし、立体的に組み合わせるという工程で制作しています。また《青の隙間(1)》は、《青の隙間(2)》を平面化して描いたものです。今回《青の隙間(2)》は床置きでしたが、今後は平面作品と立体作品を一緒に展示し、それそれの線の重なり方の違いが見えるようにするのが理想です。立体と平面とで交互に線描の作品をつくることで、自分の中の新しい発見に繋げていきたいと思っています。

版画から離れるわけではなく、1年からずっと続けてきた版画の制作がコンセプトのもとになっており、今回の作品も版画作品として制作しました。

これらの作品は一見、線のレイヤーを重ねていく版画とは関係ない技法に見えるかもしれませんが、1年生の時からずっと続けてきた版画の制作がベースになっていて、今回の作品も版画作品として制作しています。

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■佐藤香奈

この忘却という作品は、拓摺りで雨の表現が何所まで出来るだろうという好奇心で作り始めた作品です。一人の人間が雨に打たれ、孤独や痛み、感情や実態も全て雨に溶けて消えて忘却の彼方へと消えていくというイメージで作りました。普通に刷るのと違い、叩いて色をつけていくので霧のような表現になり、より人間が雨と消えていく感じなったのではないかと個人的には思っています。このテーマでまた作品を作りたいなと考えています。

この作品は当時、授業の映像で戦争から逃げ出した人が異国へと平和を求めて移民として渡ってきたものの、実際は移民として認められず、多くの逃げてきた人たちと夜を道路にしゃがんで過ごしている映像を見てこの作品を作りました。建物の隙間から見える狭い空に希望を夢見ている孤独な人間の感情を表したくて作りました。

るすたー 左向き 飛ぶアニメ.gif
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